外傷性刺青とは
外傷性刺青とは、事故や転倒などによって擦過傷を負った際、地面の炭粉(アスファルト、土、コンクリート等)が傷口に混入し、体内に残ったまま傷が治ってしまったときに生じる症状です。ケガをした直後では、細かい粒子の炭粉の一部は血流やリンパ流によって自然に取り除かれますが、大部分はそのまま残存します。それら残った炭粉は、時間が経過すると周囲がカプセル化して他の組織から隔離され、以後変化することなく留まり続けることで、外傷性刺青になります。
大したケガではないからと自身で判断してしまい、受診せずに放置した結果、傷は普通に治癒したが、外傷性刺青を生じたという例は多いです。通常、病院では擦り傷の患者様に対してはよく傷口を洗浄・ブラッシングすることで、可能な限り炭粉のような異物を取り除く処置をします。ただし、救命など緊急度や優先度が高い患者様がいる場合はその患者様が優先的に治療され、擦り傷の患者様が後回しになってしまい、その結果、外傷性刺青になってしまう例もあります。
外傷性刺青の治療
ピコレーザー
外傷性刺青の治療には、主にピコレーザーを用いた除去手術が適応されます。レーザー光が皮膚の深部まで到達することで、根本的な除去が可能です。外傷性刺青の範囲によって異なりますが、一回の所要時間は5~30分ほどです。手術の際には麻酔クリームまたは局所麻酔を使用して痛みを軽減します。なお、全て取り除くには複数回の手術が必要です。
リスク・副作用について
赤み、水疱、色素脱失、肥厚瘢痕、ケロイド
施術が困難な方
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妊娠中もしくは妊娠の可能性のある方
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光によって悪影響が出る薬を内服中か、光アレルギーの方
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重度の皮膚疾患がある方
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処置部位が活動性感染(強い痒み等)を起こしている方、または単純ヘルペスを患っている方
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重度のケロイド体質の方、またはアトピー体質の方
レーザー治療に関する
よくある質問
外傷性色素斑は治りますか?
皮膚に混入して残った異物の種類や深さによって異なりますが、一般的にはレーザー治療によって見た目を薄くすることは可能です。ただし、完全に消失できるとは限りませんのでご留意ください。
また、外傷性色素斑と似ている症状として、炎症後色素沈着があります。これはニキビや切り傷などによって傷口が炎症を起こし、メラニン色素が沈着したものです。アザの症状がわからない場合は、皮膚科を受診して原因を特定することが大切です。
レーザー治療は痛いですか?
軽微な痛みはありますが、麻酔や冷却処置を行なって痛みを軽減することは可能です。
外傷性色素斑治療のリスクはありますか?
レーザー治療によって、照射部位に軽いやけどのような赤みや腫れなどが発生する可能性はあります。術後に照射部位をこすらないようにしたり、紫外線に当たらないようにしたりと注意が必要です。