青あざについて
青あざは医学用語で真皮メラノサイトーシスと言い、大きく4種類に分類されます。片側の顔にのみ現れる「太田母斑(おおたぼはん)」や、生まれつき赤ちゃんに見られる「蒙古斑/異所性蒙古斑」、比較的小さくて青色の「青色母斑」、一見シミに似た形状の「後天性真皮メラノサイトーシス(ADM)」です。このうち医療保険適応範囲内でレーザー治療が行えるのは「太田母斑」と「異所性蒙古斑」の2種類となります。
太田母斑とは
太田母斑とは青あざの一種、1939年に日本人の太田正雄先生が世界で初めて発表したことからこのような名称となっています。英語でも「Nevus of Ota」と呼ばれます。日本人を含むアジア人の女性によく発症する青あざです。
太田母斑には、生後すぐに現れる「早発型」と、思春期になると現れる「遅発型」の2種類があります。太田母斑は、顔の片側(稀に両側)のおでこから目の周囲、頬、上くちびるの範囲に現れる点状の青あざです。日本では0.1-0.2%の割合で発生するとされています。太田母斑は、自然消失することはありません。皮膚に現れた場合はレーザー治療が行えますが、目の白目部分に発生すると、レーザーによって眼球がダメージを負う可能性があるため、現在の医学では治療が困難とされています。
異所性蒙古斑とは
生後まもない赤ちゃんのおしりにできた青あざを蒙古斑と言います。蒙古斑という名称の由来は、蒙古斑が特に日本人を含むアジア人にほぼ100%現れることから、「蒙古」=「モンゴル人」=アジア人という意味でそう呼ばれるようになったとされています。英語では「モンゴリアンスポット(mongolian spot)」と言います。なお、黒人では80−90%、白人では1−20%の割合で発生します。おしりの蒙古斑であれば、96−97%の人が10歳ごろまでに自然消失しますので、特に治療の必要はありません。
ただし、異所性蒙古斑というおしり以外にできた青あざの場合は、自然に消失する可能性は低いとされています。なお、異所性蒙古斑は、レーザー治療で完治できる可能性が高い青あざです。
太田母斑・異所性蒙古斑の治療
太田母斑
太田母斑は、生後一年以内の赤ちゃんの主に片側の顔面に発生する褐色~青色の色素斑です。太田母斑は、皮膚の層の深部にある真皮にメラニンがあることが原因で発生し、自然消失しません。2020年5月からピコレーザーを用いた治療の一部も保険適応となりました。ピコレーザーを用いることで、従来の治療より色素沈着の期間を短くすることが期待できます。
治療時間
大きさにもよりますが、1回数分〜10分程度で終わります。
※治療の際には15分前に麻酔クリームを塗布します
治療回数・期間
太田母斑の状態や肌の状態によって異なりますが、通常3ヶ月以上開けて治療します。
※保険適用範囲内での治療は5回までとなります
合併症
腫れ、内出血、水膨れ、色素沈着、色素脱失、色素の残存など
異所性蒙古斑
異所性蒙古斑は太田母斑と同様、皮膚の層の深部にある真皮にメラニンがあることが原因で発生します。上記の通り、蒙古斑は日本人にはほぼ100%見られ、生後1週〜1か月頃までに臀部や背中に現れ、5〜6歳頃までに自然消失します。一方、これら部位以外に発生する異所性蒙古斑は、自然に消失されないことが多いです。治療法も太田母斑と同様、当院で使用しているピコ秒レーザー「エンライトンSR」も2020年5月から保険適応となりました。この治療法は皮膚の薄い1歳未満の赤ちゃんに対しても効果的であることが報告されています。
治療時間
大きさにもよりますが、1回数分〜10分程度で終わります。
※治療の際には15分前に麻酔クリームを塗布します
治療回数・期間
異所性蒙古斑の状態や肌の状態によって異なりますが、通常3か月以上開けて治療します。
※保険適用範囲内での治療は5回までとなります
合併症
腫れ、内出血、水膨れ、色素沈着(数ヶ月単位)、色素脱失、色素の残存など