ケガ(外傷)
ケガ(外傷)とは、外部からの力によって皮膚などの組織や臓器が損傷した状態を指します。ケガは、物理的損傷、化学的損傷、機械的損傷に大別されます。当院では、形成外科の専門医ができるだけ痛みのない丁寧な治療を行い、機能を維持したまま見た目をきれいに改善することが可能です。必要に応じて縫合処置も行います。
ケガの治療は、できる限り早急に適切な治療を行うことで傷跡を最小限にすることができますのでご相談ください。
日本創傷外科学会 創傷外科専門医による診療
当院では、日本創傷外科学会に所属する、創傷外科専門医である院長が、ケガ(外傷)に対する豊富な臨床経験に基づき、個々の患者様に合った適切な治療のご提案が可能です。ケガ(外傷)をされた際には、程度に関わらず速やかに受診してください。
小児の受診も可能です
当院は、乳幼児のケガ(外傷)への対応も可能です。お気軽にご相談ください。
ケガ(外傷)の種類
- 切創:鋭利なもので切ってしまった切り傷を指します。
- 擦過傷:ザラザラしたものですりむけた状態のケガ(外傷)です。
- 挫滅創:鈍的な外力によって皮膚・軟部組織が裂けてしまった状態のケガ(外傷)です。
- 刺創:尖った鋭利なもので刺してしまった刺し傷を指します。
- 咬傷:動物などによって咬まれることで生じるケガ(外傷)です。
どのようなケガ(外傷)でも、早期に適切な処置を施すほど、本来の機能を損ねずに、よりきれいに治療できる可能性が高くなります。特に、顔や手足、首など、目立つ場所にケガ(外傷)を負った場合は、できる限り早期に受診するよう、心がけましょう。
ケガ(外傷)の治療
切創
切創とは、ガラスや刃物などの鋭利なもので皮膚が切れてしまった状態の傷です。
手足には皮膚のすぐ下の浅い部分に神経や血管、腱などがあるため、浅い傷でもこれら組織が損傷を受けている可能性があります。これら組織の機能を損ねないよう、ケガ(外傷)を負った際には早期に受診して適切な処置を受けるよう、心がけましょう。
顔面に切創を負った場合は、表情をつくる顔面神経や目頭にある涙小管、唾液が流れる耳下腺管などの重要な機能が器官損傷を起こしていないか確認し、傷の程度に応じて適切な処置を受けることが必要です。
もし切創を負ったら、まずはガーゼなどで受傷部分を保護・圧迫するなどの処置を行い、その後速やかに受診してください。手足に切創を負った場合は、出血を抑えるため損傷箇所を心臓よりも上の位置に保つと良いでしょう。
切創は、比較的周辺組織の損傷が軽微ですみますので、早期に受診して適切な処置や縫合を行えば問題なく治癒できる可能性が高いです。当院では、縫合の際には細い糸を使用することで、できるだけ見た目に傷あとを残さないよう最善を尽くします。当院では、縫合の際には、深部から損傷した筋などを吸収性の糸で修復し、皮膚は真皮縫合で2層に縫合し、できるだけ見た目に傷あとを残さないように最善を尽くします。
擦過傷
擦過傷とは、転んで皮膚がアスファルトに擦られたりすることで、皮膚が擦りむけてしまう状態の傷です。創部自体は浅いので縫合せずに治療して完治する場合が多いのですが、処理をせずに放置してしまうと、創部から細かい土砂や異物が混入し、そのまま治ってしまう外傷性刺青を生じる危険性があります。外傷性刺青は傷が治った後に傷あとが目立ってしまうことが多いため、注意が必要です。擦過傷による外傷性刺青の対処法としては、ケガした際にはすぐに創部をきれいに洗浄し、異物を除去することが大切です。その後形成外科を受診することで、できるだけ痛みの少ない丁寧な処置を受けることができます。
挫滅創
衝撃を受けたり、物に指を挟んだりするなど、強い力が皮膚や筋肉の組織に加わり、損傷を引き起こす状態を「挫滅創(ざめつそう)」と呼びます。交通事故や労働災害などでよく見られます。挫滅創は、神経や筋肉などの組織が複雑に損傷することが多いため、治癒に時間がかかる傷です。また、傷跡が残りやすいのも特徴であり、適切な治療を受けることが重要です。外傷には感染症のリスクが伴いますので、軽いと思われても受診されることをお勧めします。
刺創
刺創は、先端が尖った鋭利なものでできた刺し傷のことで、損傷範囲は小さくても深部にまで到達していることが多く、血管や神経、腱、臓器などが損傷することもあります。また、鋭利なものが刺さった際、その先端が折れて体内に残ってしまうこともあり、その際には摘出手術を行います。刺創は、状態を正確に見極めた上で、異物除去や止血、深部組織修復といった治療を的確に行うことが重要です。当院では超音波検査を使用して創部を正確に把握し、異常を確認しています。
咬傷
咬傷とは、動物やヒトによって咬まれた際にできる傷です。動物やヒトの口内には多くの病原体が存在しているため、咬まれた際にこれらが傷口から感染することも多く、咬傷はさまざまな傷の種類の中でも感染頻度が高くなります。傷を負った際には、まずは十分な洗浄や抗生剤の投与を行い、場合によっては破傷風予防注射を行うことも必要になってきます。
また、咬傷は、すぐに縫合してしまうと逆に化膿してしまう可能性が高いため、縫合せずに経過観察しながら治療を行うこともあります。
やけど(熱傷)
熱傷とは、いわゆるやけどのことで、広く一般的に起こりやすい外傷です。高温の液体、金属、火、爆発などによって皮膚が高温にさらされることで生じます。このほかにも、強酸や強アルカリなどの薬品による化学熱傷や、電流による電撃傷によっても起こります。また、皮膚が44~60度という低い温度に長時間さらされることで起きる低温やけども近年注目されている熱傷です。低温やけどは、皮膚表面は赤みが出る程度に見えても、皮膚の深部には深刻な損傷が起きていることもあり、湯たんぽや電気毛布などを使用する際には注意が必要です。
熱傷は、傷を負った部位の面積や深さに応じて、治癒後の皮膚が隆起・陥没したり、色素沈着や赤み、引きつれといった瘢痕やケロイドを残すことがあります。
なお、傷を負った部位の深さによって熱傷は3段階に分けられます。表皮のみが損傷した段階をⅠ度、傷が真皮層まで到達した段階をⅡ度、傷が皮下組織や骨まで到達した段階がⅢ度です。熱傷の重症度は、傷の深度や推定される受傷面積、年齢、傷を負った部位から総合的に判断されます。
傷を負った直後は軽く見えても、放置すると悪化するケースが多いので、傷を負った際には流水で30分程度冷やした上で、医療機関を速やかに受診してください。
深度 | 症状 | 色調 | 痛み | |
---|---|---|---|---|
Ⅰ度(EB) | 表皮 | 乾燥、発赤、ヒリヒリ | 紅斑 | 痛み(+) 知覚過敏 |
浅達性Ⅱ度(SDB) | 表皮~真皮 | 湿潤、水ぶくれ | 薄赤 | 強い痛み 知覚あり |
深達度Ⅱ度(DDB) | 表皮~真皮 | 湿潤、水ぶくれ、破れ易い | やや白色 | 痛み軽度 知覚鈍麻 |
Ⅲ度(DB) | 表皮~脂肪組織 | 乾燥 硬化 炭化 | 蝋色 黄色~赤茶色 黒色 | 無痛 |
やけど(熱傷)の治療
Ⅰ度・浅達性Ⅱ度熱傷
Ⅰ度、浅達性Ⅱ度熱傷の場合は、軟膏、創傷被覆材による治療が基本です。
この段階では、損傷しているのは表皮のみで真皮が残っている状態のため、やがて表皮が再生されます。多くの場合、傷あとが残らずにきれいに治癒しますので、傷を負った際には湿潤環境をつくり、上皮化を促しましょう。
しかし、傷口から感染を起こすとやけどが深くなり、治癒に時間がかかります。その際には、傷口の洗浄後、抗菌薬の外用などが必要になる場合もあります。
深達性Ⅱ度熱傷~Ⅲ度熱傷
深達性Ⅱ度熱傷、Ⅲ度熱傷の場合は、治癒後に後遺症が残る可能性が高くなります。
特にⅢ度の場合は、血流が止まることで皮膚が壊死し、壊死部分を切除することになります。壊死した部分の範囲が狭ければ後に上皮化することもありますが、上皮化までに長時間要するため、植皮術(皮膚移植)を行うこともあります。
受診前の応急処置
熱傷を負った際には、まずは流水をあてて患部を冷却しましょう。冷却することで熱による損傷の深化を防ぎ、痛みも軽減されます。
その際には、以下の点に注意してください。
- 冷却は、20分ほど継続的に行なってください。
- 保冷剤を使用すると凍傷の原因になることがありますので、使用しないでください。
- 衣服の下でやけどを負った場合は、衣服は脱がずに衣服の上から流水を当てて冷却してください。
- 指輪をしている状態で指に熱傷を負った場合は、先に指輪を外してください。後に指が腫れると指輪が外れなくなり、指輪を切断しなければならないことがあります。
日本熱傷学会 熱傷専門医が診療を行っております
当院では、日本熱傷学会に所属する熱傷専門医の院長が熱傷(やけど)に対する豊富な臨床経験に基づき、個々の患者様に合った適切な治療のご提案が可能です。
小児の受診も可能です
当院は、乳幼児の熱傷への対応も可能です。お気軽にご相談ください。
傷あと(瘢痕)の治療も対応しております
ケガを負った場合は、傷あと(瘢痕)が残ります。当院では傷あとの治療も可能です。傷あとが完全に消えるわけではありませんが、目立たなくしたり、ひきつれを抑制、予防することが可能です。内服や外用や注射などさまざまな治療の提案が可能です。
なお、いずれの治療を選択された場合も、健康保険が適用されますのでご安心ください。