逆さまつげについて
まつげの役割はさまざまで、空気中のほこりやチリが目に入るのを物理的に防いだり、風や異物を感じるセンサーとしてなど、外的要因から眼球を守っています。
まつげは本来、外側に向かって歪曲していますが、何らかの原因により、逆の内側に向かって歪曲してしまうことがあります。これが睫毛内反症（しょうもうないはんしょう）、一般的には逆さまつげと呼ばれるものです。睫毛内反症は、まつげが眼球に当たることで、痛みや視力低下などさまざまな問題を引き起こします。
- 目がチクチクする
- 目が充血する
- 常に涙目になる
- 目にさすような痛みがありストレスに
感じる
このような症状がある方は、逆さまつげの可能性があります。
逆さまつげは、上まぶた、下まぶたそれぞれで生じる可能性があり、ほとんどが目頭よりのまぶたで発症します。発症時期は個人差があり、子どもの頃から症状がある場合や、大人になってから発症することもあります。いずれにせよ、上記のような日常生活での支障を感じたり、眼科で眼球角膜が損傷していることを指摘されましたら、早期の治療をお勧めします。
逆さまつげの原因
睫毛内反症(しょうもうないはんしょう)
睫毛内反症は、まつげが全体的に内向きに生えることで、まつげが眼球へ接触して傷つけてしまう症状です。
まぶたに膨らみがあると、まつげの根もとが内向きになってしまい、睫毛内反症症状になることがあります。また、幼児の場合はよく目を擦ることが原因になることもあります。子どもの頃に発症した方でも、中学生以降になると体が成長することでまぶたの形態が確立されてきて、自然に症状がなくなることもあります。一方で、瞼縁（けんえん）が内側へまくれている方や、蒙古襞の皮膚の余りが多い方の場合は、自然には改善しませんので、治療が必要になります。
また、瞼板前組織というまつげの付け根の組織の働きが弱くなることで、睫毛内反症を起こすこともあります。具体的には、目はまぶたのフレームの役割をする瞼板（けんばん）がひっぱられて開きますが、その時瞼板前組織も同時にひっぱります。まつげは本来、目を閉じると目を覆い、目を開けると外に向くように立ち上がりますが、この瞼板前組織が弱まると、力が伝わらなくなり、これら運動が損なわれます。その結果、睫毛内反症の状態になります。この症状は大人になってから発生することもあります。
睫毛乱生症(しょうもうらんせいしょう)
睫毛乱生症とは、本来なら皆が一斉に的確な角度に生えそろっているはずのまつげが、1〜数本だけ列を外れて内側に生えている状態です。治療は、列を乱しているまつげを永久脱毛することで改善します。なお、脱毛治療は、特殊な針による電気脱毛で行いますが、当院では行っていません。
眼瞼内反症（がんけんないはんしょう）
眼瞼内反症とは高齢の方の下まぶたに起こる症状で、発症するとまぶたの内側、外側双方で広範囲にチクチクした状態になります。まぶたの組織や構造が正常に働かなくなることで、瞼縁（けんえん）の働きも弱まり、その結果皮膚が内側にまくれて眼瞼内反症の状態となります。
逆さまつげの治療
逆さまつげによって、まつげが日常的に眼球に触れて結膜や角膜を傷つけてしまい、異物感を感じる、流涙になる、眼脂がでる、充血や痛みを伴うといった症状があれば手術の必要があります。
まつげの生える方向を外側に変え、まつげが眼球に常時触れないようにすれば解決します。手術によって問題が解決されると、きれいな眼差しの印象になります。しかし、程度を誤ると、見た目が不自然になったり、外反症というまぶたの縁が眼球と密着しない状態になったりするため、注意が必要です。
上まぶた
内反症手術
内反症の手術では、まず二重のラインにしたい位置を決め、皮膚切開をします。その後、瞼板前組織というまつげの土台となる組織をスッキリさせ、まつげが外向きに歪曲するようにまつげ側の皮膚を上にたくしあげます。
また、一重の方の特徴として、蒙古襞(もうこひだ)と呼ばれる目頭側の上まぶたの立ち上がり部分が強くつっぱる傾向があります。この蒙古襞の位置にある逆さまつげを解消するには、このつっぱりを無くす必要があるため、一重の方の手術では蒙古襞形成術、目頭切開を加えていきます。最終的には二重の状態になります。
埋没法
比較的症状の軽い上眼瞼の逆さまつげに対して効果的な方法です。具体的には、糸を使って二重を作ることでまつげが外側を向くように矯正します。この方法は外向きへの矯正が弱いため、まつげがあまり眼球へ触れていない方や、たまにチクチクするといった症状が軽い方に適しています。こちらも最終的には二重の状態となります。
下まぶた
内反症手術
まつげの生えている皮膚とその下の皮下組織の位置関係を少しずらすことで、まつげが生える方向を変える治療法です。目頭側の皮膚が目頭に覆い被さっていることが原因と特定されれば、上まぶた同様に蒙古襞形成術、目頭切開を加えます。
まつげの直下の皮膚が少々傷つきますが、治療後の傷あとはほとんど目立ちません。
小学生以下の逆さまつげの手術に関して
小学生以下の手術の際に全身麻酔などが必要となる場合には、当院と連携する高度医療機関へご紹介する場合があります。
